【後編】宿泊予約が取れなーい!熊野古道の旅館、民泊、Airbnbの現状

前回の記事では、比較的予約の取りやすい規模の大きな宿場エリアを中心に解説しました。

  • 熊野三山周辺は大型宿泊施設があること
  • それらは情報もあり、観光客や初心者におすすめであること
  • しかし通過点となる小さな集落は収容人数が少なく、激戦区となっていること

…などなど。

 

ナンバンキセルちゃん
本宮温泉郷を拠点にするのが初心者にぴったりだっていうのは、なんとなくわかったかな~。
アサギマダラちゃん
でも踏破を目的にした本気の旅!なら、通過ポイントでの宿泊こそ最高でしょ。これが簡単にいかないのよね~!

というわけで、そんな激戦区の予約を実際にしてみました!

民宿、ゲストハウス…どうやって予約すればいい?

どのエリアにするか、どの宿がいいのか?どれくらい自分は歩けるのか?

▲滝尻~本宮が大体38kmなので、その途中で1~2泊するのが一般的。さらに川舟で速玉に下ったり、小口経由の雲取越えを追加したり行程は人それぞれだったりする。

 

中辺路踏破を考えるならもちろん、予約する前には行程をイメージして宿を絞り込む必要がありますね。ただしこれに関しては詳し~い解説が必要なので今回は省略します。テーマは宿泊予約の手段!

大手ネットサイト

てっとり早くてわかりやすいのが大手の宿泊予約サイト。

ですが、じゃらん・るるぶ・楽天・一休・booking.com・AGODA…それらのサイトで中辺路の宿を探すのは難しいでしょう。本宮、新宮、那智勝浦の市街地や温泉街ならもちろんありますが通過ポイントの集落は皆無と言っていいレベルです。

もちろんJTB、日本旅行、近ツーなどの旅行会社にもありません。

予約手段は…ほぼ電話!

多くの民宿の多くは、電話予約が基本です。

若い方がオープンしたゲストハウスはネット予約も可能だったりしますが、大多数は昔ながらのレトロスタイル。当然そうなると口コミの蓄積もありません。そもそも熊野古道のエリアがわからない、歩き旅が初めてというのなら…けっこう不安なのです。

熊野トラベル

そんなときに役立つのが熊野ツーリズムビューローの存在。民間と公的機関の中間の顔を持つ観光プロモーション団体で、「熊野トラベル」という旅行会社を運営しています。和歌山を中心とした熊野古道の宿泊手配を一手に引き受けてくれ、中でも電話問合せができない外国人にとっては強い味方。個人向けインバウンドの成功事例として高い評価を得ています。

ただし熊野トラベルは在庫を持っていません。これは宿にとって優しい点でもあるのですが、依頼を受けてから契約先に空室を確認し手配してくれるのでタイムラグがあり、空室状況は見れないのです。

スムーズに希望宿が取れればとっても便利ですが、会員登録をして手配依頼をしたけど、全然取れないということもあります。

満室回答の先に見えた光は…Airbnbだった

私が中辺路の予約手配をはじめたのは12月。春の旅行計画で4か月も先なのに野中・那智山・小口エリアは満室回答でした。ガーン。仕方ありません…そもそも宿が少ないのです。しかも春は特に人気のシーズンです。

熊野トラベルにも依頼していましたが、こちらの都合で日程の変更があったり、年末年始の営業日外などもありうまく予約につながりません。

そうこうしていて結局一番、予約につながったサイトはAirbnb(エアービエヌビー)でした。

Airbnb(エアービーエヌビー)って何? 民泊ってあやしくない?

 

Airbnbは宿泊施設・民泊の仲介サイト。世界192ヵ国、33,000の都市で80万以上の宿を提供しているアメリカの企業です。

安宿を探すバックパッカーはもちろん、一棟貸しの個性的な建築物、あるいは高級別荘、ホームステイ気分の宿泊体験、ホストに会わず暗証番号で入退室できるアパートの1室、などなど…多種多様な宿泊サービスがサイト内に広がっています。ホテルや旅館に泊まるのと違って、借りたい個人と、貸したい個人を結ぶイメージです。

 

ナンバンキセルちゃん
うーん。あんまり民泊って良いイメージがないなぁ。でも私も、ススキさんに寄生する植物だから変なやつって言われるんだよね、先入観ってよくないよね。
アサギマダラちゃん
何だって鵜呑みにせず、よく見極める必要ってあるわよね。実際の熊野古道でのAirbnbの評判ってどうなのかしら?

 

民泊ってネガティブな報道が多くて、信頼できない印象はないでしょうか?

中辺路は口コミ評価がめちゃ高い

新宮市がAirbnbホスピタル度ランキング1位に
(Airbnb日本の都市のホスピタリティ度ランキング 2018年度版)

新宮市には熊野三山の一つ速玉大社があります。でも人口2万7千人と大きくはないし、商業の街でもあって南紀白浜のように観光産業に特化した自治体でもありません。その新宮市がAirbnbで日本1位!これはあっぱれです。

ホストは外国語ができる方ばかりではありません。でも熊野古道へやってくる人の多くはマナーが良く、自然や日本に敬意を持っています。そんな参詣者が街や集落に来てくれるのは、きっと受け入れる側も嬉しいでしょうね。この好循環が結果に現れているようです。

存在しないと思っていた宿が見つかる感動

実際まだ宿泊にいたってないので結論を出すには尚早ですが、とりあえず中辺路の宿探しでエアビーを使ってみたところ、大手サイトにない宿泊箇所がたくさん現れました!これだけでお宝発見の気分です。なにもない山の中の宿は本当に助かります。超うれしい。

お部屋を提供するホストの皆様には拝みたいくらいの気持ちです。それくらい宿がない&取れないのです。

(どうか地方で起業したい方は中辺路へ来てください。※熊野ログからのお願いです)

 

多いか少ないかで言うと、中辺路の集落ではまだ少ない

新宮市はAirbnbでホスピタリティ1位ですが、残念ながらまだ滝尻~本宮までの中辺路の集落ではリスティング(登録)している宿は数少ない状況です。(田辺駅、新宮駅、紀伊勝浦駅などの中心市街地にはそこそこの軒数あり)

アサギマダラちゃん
それに民泊業法で営業日数も限られてるから365日受け入れ可能ってわけじゃないわ。今まで通り暮らしたい地域の人もいるろうし、人口も少ない。現実のハードルはそう低くないんじゃないの!

厳しめ意見のアサギマダラちゃんですが、Airbnbには民泊だけでなく民宿・ゲストハウスも含まれます。民泊はちょっと不安って人も、昔から営業してる民宿もありますので一度口コミを見て判断してはどうでしょうか。

そしてこれから古道沿いの集落にきっと民泊は増えてくるはずです。だってめちゃくちゃ需要と夢のあるエリアです。

大きく儲けるのは難しいかなと思いますが、素敵~私でも出来るんじゃない?って考えますもんね。熊野古道はブルーオーシャン。

熊野古道での検索機能は…微妙

ぶっちゃけAirbnbはサイトもアプリも、熊野古道沿いでの検索機能はあまり良くないです。ニューヨーク、パリ、京都、みたいな都市部ならいいと思いますが「中辺路」と検索したのに数十キロ離れた田辺駅とか白浜町のゲストハウスまで出てきて、歩けるかーい!となります。

アプリ版よりPC版の方がMAPで絞り込めて便利です。地名入力よりも私は絞りやすいと思いました。スマホで困ったら一度パソコンで見てみてくださいね。

ただし熊野古道のルートをどれくらい外れるか、バス停からのアクセスはどうか、送迎はあるか…ってなると1つずつ調べる必要はあります。

コストパフォーマンスがいい

一棟貸しなどは1人旅では高くつきますし一概に言えるわけではありませんが、エリア相場で見ると割安です(その分、制限や不自由さは当然あります)。市街地エリアであれば個室あり、女性専用ありなど選択肢も多くあります。

また宿泊代と別にエアービエヌビーの利用サービス料が必要です。これは宿泊料金などで算出されるようですが、私が予約したいくつかの日程と宿では1件あたり300~600円程度でした。利便性を考えれば高くないと思います。

予約と決済

この宿だ!と決めたら、空室・支払金額・ハウスルールを確認して予約リクエストをホストに送信します。この時点では予約確定ではありません。

予約リクエストの際には旅の意気込みだとか、お世話になります!というメッセージを送ることができます。この辺が一般のホテルなんかとは違って個人対個人のやりとりだなって感じがします。ちょっとワクワク。

回答は24時間以内に届きます。承認が下りれば手配完了。事前に指定していた方法で自動的に決済されます。決済はクレジットカードか話題のペイペイのみ。予約完了~決済まではいたってシンプルでノンストレスでした。

さぁ旅の計画を

 

ナンバンキセルちゃん
ふーん意外と使いやすそうだね。中辺路は特に安心できそうだし民宿もあるならいいな。わからないことは予めホストに質問してみるといいかもね。
アサギマダラちゃん
でもさ~歩ける距離も考えないといけないし、検索が不便じゃ実際使えないわよね。熊野ログは宿と歩く距離の一覧とか、Airbnbのリンク集を作ればいいんじゃないかしら。旅人目線のページにしてほしいわね!

 

旅する蝶々アサギマダラちゃんに発破をかけられる管理人、私の熊野古道360㎞歩き旅は今年の春です。

京都の前泊も、大阪の1泊目も口コミ評価の高いゲストハウスを、エアビーで手配しています。準備は大変だけど今から最高に楽しみ。

まずは旅人になってみること。そして旅人のためになることを。色々計画中です。乞うご期待!

★追記 お宿リスト作りました

お宿探しの役に立てば幸いです。