無知を知る愉しさ
もしあなたが初めて語り部さんと歩いたら、そこが何度も歩いたはずの所だとしても、実は知らないことだらけであることを知るでしょう。
詳しい歴史、見落としそうな動植物、山や地理のことはもちろん熟知してるし、「この臭いは数年前まであった鶏舎が原因」「今は車道を渡るが本来はこっちに道があった」「ここがヤッホーポイントだよ、やっほ!!」と、ガイドブックにもネットにもない情報を惜しげもなく教えてくださいます。
世界文化遺産として登録されている熊野古道は、その自然景観と人々が作る文化にこそ価値があります。その文化がなんなのかを知り尽くしているのが熊野古道の語り部ガイド。
各地域ごとに団体があり、魅力的で素晴らしい方々が活躍されています。いくら下調べをしても歴史が好きでも、語り部があるとないでは雲泥の差です。一度もガイドを付けずに歩いてわかった気になるのはMOTTAINAI!ですよ。熊野古道に語り部あり。NO 語り部 NO 熊野!
虹をあやつる語り部ガイド
すごーくお世話になっている語り部さんと、あるとき一緒に車に乗ることがありました。語り部さんは雨上がりの高速道路で「あ、もうすぐあっちの方角に虹が出るよ」と空を指さします。するとパアーッときれいな虹が出現したのです。まじかよ!と思うもつかの間「こんどはあの辺りだよ~見ててごらん、ほら」う、うわあああーほんまやー!!
全部で7〜8本は言い当てたでしょうか。たくさん出るね~と笑う70代のこの人は何者なのか…。陰陽師?超能力者?もしかしてミッキーマウス…?
意味がわかりません。大したことじゃないと言って虹の出る条件を教えてくれますが…いや、意味がわかりません。そもそも短時間にそんな何本も虹を見たことがありますか?私?もちろんないです。奇跡の自然現象を目の当たりにし心は入信したも同然です。
さらにこの方は、紀伊半島すべての熊野古道を踏破しています。これには色んな意味でオーマイゴッド!です。世界遺産になる前の、情報も道しるべもない時代に?紀伊路は往復、中辺路はお庭ですって…神なの?それとも大馬鹿なの?奥様なにも言わなかったの??
しかしこの語り部さんは特別でしょう。しゃべりながら歩く語り部は、気力も体力も人一倍いるので紀伊半島の全ルートやれる語り部は数少ないそうです。
色んなタイプの語り部さん
あまりハードルを上げると、他の語り部さんを困らせるかもしれませんね。そもそも歴史を語ることが仕事なのですから余計な期待をするのも失礼というものでしょう。(ここまで言うといて)
でも聞いてください、魅力的な方が多いのは本当ですよ。だって皆さん地域愛とボランティア精神にあふれ、そして行動!している方なのですから、そりゃエネルギーにあふれ人柄の良さがめっちゃ出てます。なんていうか、人間って不思議とそういうポジティブな方といると元気もらえるんです。熊野古道めっちゃ疲れたけど、あ~歩いて良かったなって。
地元の方言の方もあれば、熊野に魅せられた移住者の方、山菜採りの名人、渓流釣りの名人、元教師、神職の家柄、ネイチャーガイド、など十人十色の経歴と個性があります。ベテランも新人もあるでしょう。どんな方が案内してくれるかはその時のご縁です。
語り部の料金は一見するとけして安くはないのですが、それだけの価値は十分にあります。初めて歩く方こそ利用をおすすめします。もしかしたら何かしらのスーパーマンに出会えるかもしれません。この人がいい!と思う語り部さんに出会えたら、踏破までのルートを分割して指名することだってできます。そうなった時に熊野はあなたにとって、より特別なものになるでしょう。
語り部と行くツアーイベント
気軽に語り部さんと歩きたいなら、現地イベントに参加するのがおすすめです。
■関連記事→【イベントカレンダー】語り部ガイドと歩く!リンク集
今回は予約不要のイベントを2つ、ピックアップしますよ。ふと思い立ったり、休みの予定が空いていたら運動靴を履いて集合場所に行ってみてください。なにも難しいことはありません。
①本宮大社へ行くのなら!毎週日曜の〝朝いち語り部〟
- 歩ける格好と弁当持参で本宮大社へ行く
- 受付と支払い
- 語り部さんと路線バスで発心門に移動しウォーク開始
- 本宮大社まで歩いてゴール
私はこの企画のポイントは乗るべき路線バスが決まっているところだと思います。初心者にとっては知らぬ地名だらけの時刻表って使いこなすの難しいんですよね~。しかもお値段はポッキリ価格の税込1,000円!(ただしバス代別途要)しかも予約不要です。
日時など詳しくはこちら →主催:熊野本宮語り部の会
②那智大社へ行くのなら!〝語り部と歩く世界遺産の地 那智山周遊サンデーウォーク〟
- 歩ける格好で大門坂駐車場に集合する
- 受付と支払い
- ウォーク開始(那智大社・青岸渡寺・那智の滝)
- 那智の滝で解散
この企画のポイントはタイトルの通り、那智山全体を周遊できるところだと思います。観光客も多く本格的な登山靴がなくても歩ける那智ですが、なんていうかここは見所だらけなんです。滝を見ただけでも感動して満足しますが、ガイドさんの詳しい解説つきなら見方も全然違います。こちらもお値段は税込1,000円で毎週日曜開催、予約不要!
日時など詳しくはこちら →主催:那智勝浦町観光協会
どちらも先着順ではありますが、ここが出来ればきっと次のコースもイメージしやすくなりますよ。ぜひ一度お試しください。