前回記事■速玉~那智①新宮城跡~三輪崎駅|海の道と、高野坂 からのつづき
新宮城跡~高野坂を歩き、新宮駅前の徐福寿司さんで食事を楽しんだあと、私たちは新宮駅の待合いへ向かいました。13:30からの『ガイドと歩くまち歩き』に申し込んだからです。
ハツラツとした笑顔で迎えてくれたのは女性の語り部、西浦さんでした。登山用のレインウェアも似合っていて素敵です。直前に確認した雨雲の動きでは、ちょうど出発頃から新宮を抜ける予報でしたが、傘とカッパを持参して出発しました。
神倉神社~速玉大社~新宮駅(約3.4km/約3時間)
行程の記録
実施日2018.9.26(水)/くもり時々雨
■スタート地までのアクセス なし
前回からのつづきとなります
ガイドと歩くまち歩き
今回利用したのは以下のガイドツアーです。たっぷり案内してくれて本当にこんな価格でいいの?!と思う内容でした。
毎日9:30~、13:30~の2回開催。前日までの要予約(営業17:00まで)ガイド料は申し込み1名につき1,000円だが、申し込みが1名だけの時は2,000円。1.5~2時間の5つのコースがある。集合は新宮駅。
私たちが申し込んだのは「新宮の世界遺産・熊野速玉大社と神倉神社」のコース。観光目的でも熊野参詣でも短時間、低価格で理解を深めることができるのでおすすめ。
(問合せ:新宮市まちなか情報センターTEL/FAX 0735-23-2311 )
13:30 新宮駅出発
さっそく神倉神社に向かいます。傘はさしていますが途中から上がってきました。街路樹が「ナギ」なのが新宮らしいですね。ひっぱっても切れないナギの葉は速玉のご神木で、縁結びにご利益があるとされます。
13:45 神倉小学校
「私の頃は芝生じゃなったです」というガイドさんも通った小学校は、神倉神社のすぐそば。2016年にあのジブリ監督!宮崎駿さんがやってきて参拝された際に、木造の体育館が気になると言って見学されたんだそうです。
お礼のハガキも届いたそうで町の人は大喜び。段ボールで作ったトトロの影を体育館に投影してイベントも行ったそう。こんなん大人でも嬉しいよな~。
13:50 神倉神社へ
急峻な538段の石段を上ったところにお社があります。その階段の角度なんと45度!!!見上げて笑ってしまうくらいヤバイ階段です。気の小さな友人は後ろを振り返らないよう、足元だけ見て必死に登ってました。
この凄まじく圧倒される感じが、神倉神社の魅力の一つですね。山伏の修験として使われてたので、こんなに怖いくらい急なんだそうです。
14:10 お社に到着
ご神体のゴトビキ岩がまた圧巻です。熊野の神は、最初にこの岩に降りたとされます。
熊野三山は本宮・速玉・那智ですが、実は神倉神社ってめちゃくちゃ重要スポット。当初ここにお祀りしていた神様を現在の速玉大社に移したことから新しいお宮様ということで「新宮」の地名もついたそうです。
ジオガイドでもある西浦さんいわく、神倉の地形は火山が噴火したあと隆起して出来たんだそう。このゴトビキは、丸くなる性質のある巨大な花崗斑岩が浸食されたもの。元々は低いところにあったのを自然が押し上げたんですね。…と、言うのは簡単ですが想像もできない歳月が生んだ景観です。
大雲取越えにあるたくさんの巨岩も同じ花崗斑岩なんだそうです。は!そう言えば以前、大雲取り越えを歩いた時の語り部さんも言ってたような…。すぐ忘れてしまうのですが、こうやって色々な場所がつながると改めて理解が深まるのだなと実感しました。百聞は一見にしかず!って感じです。
那智の滝も、温泉も、橋杭岩も…異形で不思議なものは火山活動によるエネルギーの欠片なんですね。
頂上からは新宮のまちが一望できます。午前中に自分が歩いたところが全部確認でき、すごく感動しました。去年初めて来たときはただ“美しい眺望”でしたが、この日 私の目に映ったのは様々な歴史物語です。やっぱり自分の足で歩くっていいなぁ。遠い町だと思っていた新宮が好きになった気がしました。
そしてここから見る朝日がなんとも言えない美しさだと聞いて、今度は泊まりで来よう!と友人と約束しました。
14:50 寺町と仲氷店
神倉すぐ近くの妙心寺は今や廃寺ですが、実は熊野比丘尼の本拠地ともいえる尼寺。比丘尼たちが神倉神社を管理していた時代があったので、神倉のお燈祭りでも松明を持って必ず寄るそうです。
ここから速玉大社までは路地を歩いて行くのですが、かき氷の有名店やたくさんのお寺、古い町並みが残っていて意外なくらい見どころがありました。平安、鎌倉、明治、大正、昭和、時には弥生時代までさかのぼる歴史は幅広くて、神社仏閣、文豪、歌人、建築、ジオ、グルメ…と新宮のガイドはとにかく覚えることが多くて大変だそうです。でもきっと知れば知るほどはまるんやろうなぁ。
15:15 熊野速玉大社
もはや説明不要の重要ポイント。参詣者たちは本宮大社のあと熊野川の清流を船で南下し、ここ速玉に来ました。朱塗りの社殿を見る頃は旅の疲れもそこそこに回復し、少し羽を伸ばす時間あったのかな~なんて想像します。主祭神はイザナギ。薬師如来様がお祀りされてあり、過去世の救済にご利益があるとされます。
語り部さんが熊野曼荼羅の絵解きをショートバージョンでやってくれました!ひとつひとつのイラストに意味があり、流れるような解説でめちゃくちゃわかりやすい!土日祝にはこの熊野曼荼羅絵解きが無料で開催されているので、機会があればぜひ聞いてみてください。ご神体のナギだとか、八咫烏だとか、宝物館だとか、いくらでも話はあるのですが、この辺りもぜひガイドツアーに参加して聞いてほしいところです。ちょっと参拝するだけなのは、もったいないですよ~。
15:45 川原家横丁
交通の大動脈であった熊野川は熊野参詣に使われただけでなく、江戸~昭和にかけては林業や交易を中心に新宮のまちを発展させました。しかし度々、大水に見舞われるので川原の宿場や商店などは釘を一本も使わない木組みの“川原家”を用いて、解体し運び、また組立てるといった独特の文化があったそうです。現在は観光用に作られたこの横丁で、お土産の購入や飲食ができます。地元の方も、ここのタコヤキをよく食べにくると言ってました。(写真撮り忘れてたよ~)
ここで販売してるクリアファイルは、ガイドさんも参加している地域づくり団体の皆さんで作ったものだと聞いて、1枚いただきました。ジオガイド、語り部ガイド、川船の語り部、熊野比丘尼、地域づくり…??!何にでもなってしまう語り部さんの地元愛に驚いて感服しました。そしてそんな方に案内してもらってる自分たちの幸運に感謝です。
16:00 知る人ぞ知る、新宮銘菓「天の川」
ここは教えてもらわないとわからない、穴場と呼ぶにふさわしい名店。和菓子屋の松葉屋さんは、天の川という銘菓が人気です。外はシャリっとして中につやつやの小豆がたくさんつまっていて、シンプルな甘味だけと上品でいて、いい~食感なんです。人から頂いたことはあったのですが、お店の外観を知らずにびっくりしました。めっちゃ民家やん!これは玄関を開けるのもためらうな~。
ここで語り部さんに電話が。店に傘を忘れているよ~と川原横丁のお母さんでした。親切~!(ご迷惑おかけしました 汗)
16:15 香梅堂の「鈴焼き」
日本全国に鈴焼きはあれど、ここの鈴焼きに敵うものはない!と私は思っています。父が新宮で仕事をしてたのでたまに買ってきてくれたのですが、一人で一袋あっという間に食べます。その頃は有名なものと知らないのですが、いくつ食べても口に入れるたび「美味しい」ので、子供ながら「ふつうのやつと違う、これは美味しいやつや」という認識で飛びついていました。ただし、どこにも卸さないので行かなきゃ手に入りません。いつもお店はお客さんで賑わっています。
16:30 新宮駅
2時間のコースのはずなのですが、お土産の購入や忘れ物で引き返したりと、大幅に時間オーバーだということに全然気づいてませんでした…。私たちが色々と興味を示すので、普通ここまで言わないけどと道中で細かな町の情報を教えてくださいます。ここは昔女学校、このパン屋さん地元で愛されているの、ここの熊野牛の鍋焼きうどんが美味しいよ~と。こりゃまた来るしかないな!と思わせるのです。和歌山って何もないと県民の多くは言うのですが、色んな楽しみ方があることをガイドさんはよく知っているので観光客はもちろん、地元の方も活用すべきだと私は思います。で、たくさん関心を持った方が楽しいです。
本日の湯めぐり 「勝浦温泉 きよもん湯」
ガイドさんとお別れをして、勝浦の温泉きよもん湯に寄って帰りました。ポケモンみたいな名前ですが割と新しくてきれいな施設です。で、いわゆる源泉掛け流しなんですが、看板で謳われるのは「流しっ放し」「出しっ放し」という大胆な言葉のチョイス。なんか勢い感じます。カラン6つほどで広くはありませんが、とってもいいお湯です。適温の湯船で「ジオって最高やな~」と羽を伸ばしました。(※温泉も太古の大噴火の名残)
かかった費用
約2,930円+ガソリン代(お土産含まず)
・交通 930円(バス@230/駐車場@700)+ガソリン代
・飲食 1000円(徐福寿司850円+飲み物150円)
・ガイド代 1000円
・温泉 500円