【前編】宿泊予約が取れなーい!熊野古道の旅館、民泊、Airbnbの現状

最初の洗礼は宿泊予約!?

今春、熊野古道を京都大阪から歩きます。全部で21泊の女1人旅です。

何が大変ってね…宿泊手配が大変!なんです\(^o^)/

いやいや、それはアンタの旅行計画が無謀やからや…と思うかもしれませんが、けしてそういう理由ではありません。今回は観光客もたくさんやってくる、あの中辺路ルートのお話です。

 

ナンバンキセルちゃん
え~でも中辺路ってかなり整備されてるでしょ?そんなに大変かなぁ
アサギマダラちゃん
いやいや、中辺路ってまじで予約取れないから。ほらアタシたちって秋に紀伊半島を通過するでしょ?もう全っ然だめ、行楽シーズンはどこも満室なんだから~!

 

そうなんです。熊野古道は人気の割に圧倒的に宿泊箇所が少ないのです。準備に気合いが必要なのです。早め、早めに計画ください。

オフシーズンならともかく、当日何とかなるは通用しません。テント泊の方もいますが、私のような素人が真似しては体調ガタガタ間違いなし!(※そしてキャンプ場以外のキャンプは黙認されてますが本当は禁止、和歌山ってほぼ私有林なので注意です)

私の熊野古道360㎞歩き旅は前半が大阪からの紀伊路。そして後半で人気の中辺路に突入します。世界中から注目されるこのルート。どこに泊まったの?と聞くと「CHIKATSUYU!」「NONAKA!」って世界の人々が答えてくれます。たのしいヨ。

▲本宮・速玉・那智を巡る中辺路は超王道

 

しかし私は、この中辺路の宿泊手配…正直なめてました。和歌山に住んでるため分割では何度か歩いており位置関係もわかります。旅の手配は好きな方です。

ところがいざ、ちょうどいい場所を予約しようとすると…満室回答!!ガーン。まだ何か月も先の予約やのに?!

そんな熊野古道、中辺路の宿泊手配の現状、あれこれについて紹介します。

中辺路の宿場と、ルートの関係

中辺路は数ある熊野古道でも、世界遺産が集結しているゴールデンルート。日帰りの観光客も、長期旅のバックパッカーもここを目指します。

熊野本宮大社の周辺には本宮温泉郷と呼ばれる旅館街があります。大温泉わたらせ、カリスマ湯の峯、ここほれ川湯…名づけてみましたが今回その魅力については割愛します。とにかく、どこも甲乙つけがたい素敵なところです。

すべてを受け入れる本宮温泉郷の包容力

本宮温泉郷には安定したキャパがあり、大型バスも受け入れ可能な旅館もあります。地域振興に大きな貢献をしてくれる頼もしい存在です。自然災害に負けないでほしいって、微力ですが超応援しています。

ところで、これを読むあなたはどこかで目にしたことはないでしょうか。初心者におすすめは発心門コースだって!

本宮温泉郷×発心門コース

発心門~熊野本宮大社までは約7㎞、大体3時間です。観光情報誌やインターネットでもたくさん取り上げられますね。

それが「なんでか??」というと、道のやさしさ・ハイライト・古道らしさ…たくさん理由はあるのですが、もう1つ要因があります。それは“収容可能な”宿泊施設からアクセスが良いからです。

▲発心門~本宮コースでみられる景色

 

観光情報誌を発行している「じゃらん」も「るるぶ」も本宮エリアの客室を販売していますね。旅行情報サイトなら楽天トラベルなどのリンク広告も貼られているでしょう。関わる人の多いエリアはビジネスも成り立ちやすいのです。

観光地にとってこれらは大きな宣伝となり、またこの恩恵は私たちの助けになってくれます。情報が整いやすいのです。つまりは「予約がとれる」「便利」「わかりやすい」の3拍子。観光客にとても重要です。これが小さな民宿やゲストハウスではいくら魅力的な施設でも、なかなかこうはなりません。

そんなわけで本宮温泉郷と発心門コースはド定番。「熊野古道は旅行中の1日だけのつもり」「3~4時間のウォーク体験とそれに観光も楽しみたい」「おばあちゃんと一緒に歩きたい」「長期の休みは取れない」というならこれがベストです。発心門まで送迎してくれるお宿もありますよ。

ぜひ本宮温泉郷をベースに計画してみてください。宿も比較的、予約が取りやすいです。

那智、速玉しかり

で、パこのターンって速玉大社&那智大社も同様です。速玉のある新宮はビジネスホテルも多いし、那智のある勝浦温泉は旅館が多数あります。人々がこぞってやってくる中心聖地の周辺には宿泊施設が多くあるのです。三山詣り+古道体験というモデルコースは、当然存在するわけですね。

ナンバンキセルちゃん
車やバスで旅行するなら、旅館へ移動ができるもんね。白浜温泉に泊まって翌朝ドライブして、ちょっと歩くだけも全然ありだしね。
アサギマダラちゃん
熊野三山周辺は観光目的ならそんなに困らないわね。でも本気で歩く旅ならそう簡単に移動できないし、せっかくなら道中で宿泊したくない?

歩く旅、となれば話はちがう

上述ように安心して使える本宮温泉郷ですが、中辺路踏破となると話は別です。

この素晴らしき温泉旅館たちは、ロングウォークの視点で見てみると…位置的にゴールのすぐそばなんです。ゴール前後の宿泊には最高なんですが、「滝尻から熊野古道を全部歩くんだあああー!」って方にとっては、途中にある宿泊ポイントではありません。

起点0番の道標がある滝尻王子~熊野本宮大社まで約38km。さらに大雲取越え・小雲取り越えのある那智山や、小口エリアでの宿泊も考えるとなれば…

…こ、これが熊野の洗礼か~~!!!!!!という壁にぶち当たります。

通過点となる主な宿場情報

 

▲大型宿泊施設がない場所は難しい

 

では、愛すべき中辺路の集落、宿場を紹介します。

「宿場」という言葉は「温泉街」「旅館街」などという名に代わりましたが、それほど大きくはない熊野古道の小さな宿泊エリアのことを、ここではあえて「宿場」と呼びましょう。それらは今も昔も、歩く旅の中継点であり通過点。

そんなわけで以下の宿場情報は、大手サイトで予約が可能なエリアである、本宮温泉郷・新宮市内・那智勝浦温泉は除きます。あしからず。

滝尻エリア

多くの参詣者にとってのスタート地点です。紀伊田辺駅周辺で前泊し早朝のバスで滝尻まで来る場合がほとんどですが、前日にここまで来ておくのもおすすめ。田辺から滝尻までの早朝バスは混雑するので座れないこともあります。

宿泊施設2軒(民宿あんちゃん、天空の里 峰)

高原エリア

スタートの滝尻から約3㎞先の集落で山の上にあります。滝尻からはすぐの距離ですが、景色のいいカフェや魅力的な宿泊施設もあり1泊のんびり使うのにおすすめエリアです。(高原の山上エリアとして、栗栖川バス停付近は今回割愛しています)

宿泊施設5軒(霧の里たかはら・すずしろ・天空のさと山・民泊あかつき・星空の宿たかはら)

近露エリア

高原から7㎞の山中を抜けた山間の集落。カフェ、スーパー、美術館なんかもあります。ここで1泊して一気に本宮を目指す人もいますが、これはか~なり厳しい道のりです。やれなくはないですが本宮まで山道の25km。アップダウンあり、圏外もあって単独ではおすすめできません。決して余裕のある行程ではないのです。古道歩きは滝尻~ちかつゆだけで終わらせて、翌朝ここから本宮大社までバスで行く人もいます。

宿泊施設8軒(アイリスパーク・まんまる・民宿なかの・民宿もみじの里・桜の園・ハピネスちかつゆ・民宿ちかつゆ・旅館月の家)

野中エリア

ちかつゆから3~4㎞のエリアです。『中辺路38km1泊2日踏破』の場合は、ここ野中で宿を取るのが位置的にはベストです。ところがここの宿が取れない!!!数も少ないし1組限定だったりします。ここが難関です。

宿泊施設5軒(民宿つぎざくら・ゲストハウスMUI・いろり庵・野中山荘・さーどぷれいす)

那智山エリア

勝浦駅周辺には温泉街もあるので手配には困らないでしょう。那智大社までは路線バスでも行けます。しかし私のように「全部歩きたいから、もっと那智大社の近くに泊まりたい」となるとその数はわずか。

宿泊施設3軒(美滝山荘・和笑庵・民泊&一棟貸しの宿)

小口エリア

那智山~本宮への中間地点にあるのが小口です。ここは大雲・小雲取越えと呼ばれる険しい道にあります。ここも予約が取れない…色んな意味で難所です。

宿泊施設5軒(小口自然の家・民宿百福・サンサロカフェ&ゲストハウス・ゲストハウスikkyu・雲間ゲストハウス)

問題は収容人数

屋号だけ見ても規模がわからないと思いますが、上記のほとんどが民宿・ゲストハウスです。中辺路町の収容人数は160名ほどと言われます。

中辺路全体じゃなくて「町」ですよ。田辺市街・本宮町・新宮市・勝浦町は含みません。上記の滝尻、高原、ちかつゆ、野中などの集落を指します。ほとんどやんけ!という感じですね。

しかもこれ、あくまで収容人数です。4名定員の部屋に1名で宿泊する場合もあり、実際に宿泊する人数ではありません。

1棟貸しの宿、1日1組限定の宿、料理自慢の宿…めっちゃ好評みたいなんですがキャパはありません。しかも予約手段が限られるという…。

さぁどうやって予約したのか?!実際の宿泊手配については…後編へ続きます。