熊野古道1泊2日は初心者向きじゃない?中辺路40㎞ ゆっくり2泊3日モデルコース

中辺路40㎞の1泊2日は、初心者向きじゃない…!?かも

熊野古道の中でも、本格的なトレイルが楽しめる人気の中辺路ルート。

滝尻王子~熊野本宮大社(約40㎞)を1泊2日で!というモデルコースや、ツアーも数多くありますが、1日平均20㎞の山道というのは実は健脚向きです。

▲スタートすぐの滝尻は急坂

 

登山に親しんでいる方ならともかく、普段あまり運動をしないようなら「苦しくて楽しむ余裕もない…」ということもあります。それもまた難行苦行の熊野古道なので悪くはないのですが。

ですが、相手は自然です。変わりやすい天候、エスケープのできない場所や、電波の届きにくいところもあります。

そんなわけで今回はちょっと自信がないという方におすすめの、中辺路40㎞を2泊3日で歩くモデルコースを紹介します。バスを利用したりとちょっとコツがいりますが、事前にちゃんと調べておけば難しくはありません。

安全には十分気を付けて、体力に合った熊野参詣をご計画くださいませ。

熊野古道の踏破で…バスを利用?そんな必要どうしてあるの?!

せっかくの熊野古道「えっバス?!バスなんて乗らずに全部歩きでやりたい!」と思う気持ち、よーくわかります。

ですが世界遺産の観光地と言っても、愛すべきド田舎の熊野古道には、宿泊施設がまだ多くないのです。

▲外国人も多く乗車するバス内は国際的

 

しかも、欧米豪のハイカーは半年以上前から計画し予約します。ハイシーズン、好立地の予約は困難なのが現状。取れればラッキーだと考えてください。

宿泊できる主要な集落は2か所

滝尻王子~熊野本宮大社までの約40㎞、道中ちょうど良いところに宿があれば良いのですが、集落は主に2か所です。宿泊するにも、休憩するにもポイントとなるこの2か所をまずは押さえておきましょう。

集落1 高原(たかはら)

▲土日限定、高原休憩所で販売されるよもぎ餅は必食!

 

かつては旅籠も数多く熊野参詣者を迎えてきた高原(たかはら)。霧の里と呼ばれ、早朝には雲海を望めることもあります。

スタートの滝尻王子から約4㎞の位置にあります。

4㎞というと短く感じますが「己が手を立つるがごとく」と藤原定家も苦戦した急登で、標準歩行時間は約2時間です。

高原にはカフェや宿泊施設が数件あります。商店はなく、自動販売機とトイレのある無料休憩所だけです。

最寄りバス停は栗栖川(くりすがわ)です。高原集落からバス停へは下りのため所要20分程度ですが、逆に登りは1時間弱かかるので注意が必要です。

集落2 近露(ちかつゆ)

▲道の駅がある近露は中辺路のオアシス

 

近露(ちかつゆ)は、中辺路40㎞の区間の中で最もにぎやかな集落です。

…と言っても日暮れには民家の明かりも僅かな里山。美しい川と田畑豊かな集落は日本の原風景のようなのどかさがあります。

アスファルトで気軽に歩ける区間もあるので、乗用車やバスツアーの観光客も多いエリアです。

カフェ、飲食店の他、道の駅、スーパー、美術館などもあります。

バス停は柿平・古道歩きの里ちかつゆ・なかへち美術館前・近露王子など。

その他の集落は? 野中の宿泊予約は困難

高原・近露の他にも宿はあります。

例)
・滝尻王子 (スタート地点)
・継桜王子 (中間地点で人気のため予約困難)
・伏拝王子 (ゴール直前)
・本宮町内  (ゴール地点)

上記のうち、継桜王子のある野中(のなか)という集落は、1泊2日で歩く場合にも、今回紹介する2泊3日にもベストな位置にあるのですが、数件の小規模な宿しかないので春秋などハイシーズンは満室のことが多いのが現状です。

 

さて、解説が長くなりましたが上述の状況をふまえて、いよいよ本題です。

2泊3日モデルコース

宿泊場所により、当然ながら1日の歩行距離が変わります。

そして紹介する3パターンは、いずれも宿泊予約が取れれば成立するモデルコースです。ご自身の体力に合わせてまずは希望のコースを選び、宿泊手配をまずはしましょう。

中辺路のほとんどが小規模の民宿で、電話での予約です。以下のリンクにまとめています。

モデルコース① 高原・野中で1泊ずつ


<1日目>(距離約3.7㎞)
滝尻王子……徒歩……高原王子  /宿泊地 高原

<2日目>(距離約13.2㎞)
高原王子……徒歩……継桜王子 /宿泊地 野中

<3日目>(距離約21.3㎞)
野中……徒歩……熊野本宮大社 /宿泊地 本宮


※3日目は距離が長くなりますが、バスに乗らず踏破することができるシンプルなコース。数少ない野中の宿泊予約を、早めに確保することが必須条件です。

モデルコース② 高原・近露で1泊ずつ


<1日目>(距離約3.7㎞)
滝尻王子……徒歩……高原王子 /宿泊地  高原

<2日目>(距離約16.3㎞)
高原王子……徒歩……小広王子……徒歩……小広王子口——バス移動——近露など  /宿泊地 近露

<3日目>(距離約18.2㎞)
近露など——バス移動——小広王子口……徒歩……小広王子……徒歩……熊野本宮大社/宿泊地 本宮


※バスに乗る必要がありますが、2日目を小広王子口まで歩いておくことにより3日目が楽になります。バス移動になるので宿泊地は滝尻、本宮などでも可能です。

モデルコース③ 近露で2連泊


<1日目>(距離約13.0㎞)
滝尻王子……徒歩……近露王子 /宿泊地  近露

<2日目>(距離約7.5㎞)
近露王子……徒歩……小広王子……徒歩……小広王子口——バス移動—–近露 /宿泊地 近露

<3日目>(距離約18.2㎞)
近露——バス移動——小広王子口……徒歩……小広王子……徒歩……熊野本宮大社/宿泊地 本宮


※モデルコース②と3日目は同じです。1日目が厳しい山道ですが、2日目はほぼアスファルトでカフェなどもあり比較的のんびり過ごせます。こちらもバスに乗る必要がありますが、連泊のため荷物をおいて2日目歩けるのがメリットです。

それでも予約が取れない?!そんな時は…熊野古道から離れた宿泊施設へ

3つのモデルコースを紹介しましたが、それでも熊野古道のルート上の宿は、予約が取れないことがあります。

そんな人たちはどうしてるかと言うと、ルートから離れた紀伊田辺駅前や、白浜温泉、ゴール近くの本宮温泉郷などを拠点としています。

紀伊田辺駅、白浜温泉、本宮温泉郷 利用するメリットとデメリット

市街地や温泉旅館は収容人数も多いので、比較的予約が取りやすいのがメリットです。

また、民宿・民泊・ゲストハウスに抵抗がある人には旅館やホテルを選べますし、温泉のある宿なら疲れも癒せます。市街地であれば飲食店や商店があったり利便性も良く観光も楽しめます。

難点は、発着地点へのアクセスに時間とお金がかかってしまうこと。

発着地点から離れるほど、早起きしなければなりませんし運賃もかかります。

なるべく近く、そしてバス停から近いのはない?!

おすすめの穴場は、滝尻王子バス停の民宿あんちゃん、鮎川バス停の民宿加茂さん。

2か所とも以前、私自身がお世話になったことのある民宿です。周辺にあまり何もありませんが、どちらもお料理がとても美味しかったのと、バス停がすぐなので拠点にするにはとても便利です。

また、上富田町の朝来(あっそ)駅周辺にもゲストハウスが増えつつあります。こちらも白浜や紀伊田辺駅より中辺路に近く、スーパーなどもあり便利なエリアです。

バスの時刻表を事前にきちんと調べよう

路線バスは1~2時間に1本程度なので、余裕をもって歩行計画をしてください。

現在運賃の支払いは、現金のみです。1万円札の両替もできないので予め準備しておきましょう。

龍神バス

熊野古道・本宮大社・龍神温泉・高野山など、和歌山の世界遺産観光は龍神バス(龍神自動車(株))におまかせください。団体旅行…

 

最近はGoogle Mapの検索でも、バス時刻が正確に表示され便利になりました。

和歌山県の高野山、熊野地域を巡る路線バスの運行情報が、インターネットの地図アプリ「グーグルマップ」で表示されるようになっ…

山歩きはトラブルがつきものです。乗り遅れた場合の次のスケジュールまで、確認しておくことをおすすめします。

 

旅は計画時点からはじまっています!あまり情報が多いと言えない熊野古道ですが、あきらめずに調べてみてくださいね。良い巡礼、参詣道となりますように。