第3回『語り部と歩く 熊野古道紀伊路130kmウォーク』に参加しました!
今回のコースは、五体王子の一つで世界遺産『藤白神社』がなんと言ってもみどころです。珍しい滝があったり美しい竹林があったり、見晴らしのいい海の景観も楽しめる、めっちゃいいとこ。
この企画は全12回のコースで和歌山県北部から田辺までの130kmを分割し歩きます。JRに合わせた集合・解散なので車のない方でも参加できますよ。
あと、紀伊路って熊野古道の中でも残念ながら不人気ルート。世界遺産登録になってるのは神社などの一部で、道そのものはほとんどアスファルトです。だからこそ、何気ない景色にストーリーを見せてくれる語り部ガイド付きがおすすめです。
↓朝日新聞社さんが動画をYoutubeに投稿してくれています!
最初はイベントの様子でウグイス鳴いてますが、途中からおそらく下見でしょう。次回歩く箇所の映像になってます。めちゃくちゃ蝉鳴いてる~8月8日って!相当暑かったと思います…ご苦労様でした。
- 1 第3回 語り部と歩く 熊野古道紀伊路130kmウォーク
- 1.1 歩行記録
- 1.1.1 9:30 海南駅集合
- 1.1.2 10:00 道わけ石と、紫石の石垣
- 1.1.3 10:05 熊野一の鳥居跡
- 1.1.4 10:15 鈴木性発祥の地 鈴木屋敷
- 1.1.5 10:30 藤白神社
- 1.1.6 11:00 有間皇子史跡
- 1.1.7 11:10 藤白坂へ
- 1.1.8 11:30 展望
- 1.1.9 11:45 竹林
- 1.1.10 11:55 筆捨松
- 1.1.11 12:10 宝篋印塔 地蔵峰寺で昼食
- 1.1.12 12:55展望
- 1.1.13 13:00 峠の池のコイ
- 1.1.14 13:50 裏見の滝 福勝寺(重要文化財)
- 1.1.15 14:05 橘本(きつもと)王子跡 阿弥陀寺
- 1.1.16 15:30頃 加茂郷駅
- 1.1 歩行記録
第3回 語り部と歩く 熊野古道紀伊路130kmウォーク
開催日 2018.5.16(水)晴れ
参加費 1,000円(資料代、ガイド代、保険代込 ※弁当各自持参)
コース 紀伊路(海南〜紀伊宮原 約7.5km)
集合 9:30 JR海南駅
歩行記録
9:30 海南駅集合
海南駅は特急電車も停車して構内にコンビニもある和歌山県下では立派な駅です。特急電車も停車しますし、駅前のコインパーキングは安価(24時間最大500円程度)なので車でも超便利。ちなみに友人は大阪でコンサートなんかあるとき、白浜からここまで車できて停めることがあるそうです。南紀の終電早いからね…。
さて、紀伊路のイベントとしては3回目ですが、私は2回目が不参加だったのでちょっとまだアウェイな感じ(しかも1人参加の最年少)。ちなみにこのよそ者感については回を重ねるごとになくなって行きますよ。みんないい人なので1人でも参加してみてくださいね。
10:00 道わけ石と、紫石の石垣
JR海南駅を出発し熊野街道に入ります。古道ではなく街道です。途中の石垣がすごく趣がありました。和歌山で採れる紫石も使われていると語り部さんが教えてくださいます。
10:05 熊野一の鳥居跡
▲鳥居跡といっても想像しにくい場所にある
右左折の多い熊野街道は、古い建物も残っていてなかなか風情があります。徳川の時代や建築様式のお話も交えて興味深いお話を聞きながら藤白へ進むと、熊野一の鳥居跡です。伊太祁曽駅からのルートはここで交わるそうで、前回の参加者はここまでを歩いています。というわけで、ここより街道から古道となります。
さて、この先にある藤白王子が五体王子の一つというのは、熊野古道をやる人なら覚えておきたい基本です。ここ、テストに出ますよ。九十九以上ある王子の中で格式が高いとされるのが、藤白・切目・稲葉根・滝尻・発心門の5つ。大阪の窪津王子から歩いてくるとここは最初の五体王子なのです。聖域を表す鳥居をみた参詣者はどんな気持ちだったでしょうか。
10:15 鈴木性発祥の地 鈴木屋敷
八咫烏が3本足だったのは宇井・鈴木・榎本の三豪族が神武天皇をご案内したからだとも言われます。姓の由来は神武天皇に稲穂を献上したことから穂積の姓を賜り、当地では稲叢をススキと呼ぶところから鈴木となったそう。というわけで、この海南は鈴木姓発祥の地!全国に3000社以上と言われる熊野信仰を広めたのも、熊野水軍を屋島の勝利に導いたのも鈴木家の尽力があったからとされます。
曲水の宴が催された庭園も、鈴木屋敷もかなり荒れてしまっていましたが、今年2018年6月から本格的な復元工事がはじまったそうです!2021年頃に完成するそう。楽しみやな~。
10:30 藤白神社
さあいよいよ藤白神社です!生命力もりもりの大木が鎮守しています。ここは色々と見所が多くて書ききれませんが、私はかなりお気に入りの場所です。数多ある熊野の神社で本地仏が残っているのはここだけで、権現堂の3体の仏様は必見!です。遠慮してしまいましたが写真も撮っていいそうです。
南方熊楠の名前も、藤白の子守楠から名をとったそうです。子供の成長や子宝にもご利益があるとされます。以前に来たときには、近所の子供たちが境内で遊んでいてほほえましい印象でした。
格式の高い神社ですが敷居の高くない素朴さや温かみを感じたのは、大切にしてきた人の気持ちや生活が見え隠れするからかもしれません。神・仏・自然・人間が共生してるって平和そのもの。きっとこれが日本古来の姿であり、私が熊野古道を好きな理由のような気がしました。
海南インターチェンジ下りてすぐなので、熊野三山とともに足を運んでほしい場所の一つです。
11:00 有間皇子史跡
悲運の貴公子、有間皇子。謀反を企んだと仕立てられて殺害されたとき、まだ19歳の若さでした。
11:10 藤白坂へ
藤白山を登る途中、1町ごとに町石地蔵がいらっしゃいます。18体とされますが、けっこうざっくりしていて1町の距離にはばらつきがあるようです。写真のお地蔵は2体目で徳本上人の碑と一緒に並べられています。
11:30 展望
左右みかん畑を眺めて登ります。傾斜はそこそこです。
11:45 竹林
竹林がめっちゃいい雰囲気でテンション上がりました。高く伸びる竹を皆思わず見上げます。中辺路にはこういう竹林少ないからこのボリューム感は新鮮です。風が吹いてサワサワと心地いいし、外国人旅行客なんかにもウケそうやなぁ。
11:55 筆捨松
宮中絵師の金岡という男が、童子と絵を描いて競ったそうです。金岡の描いたウグイス、童子の描いたカラス。ともに飛び立ち、帰ってきたのはカラスだけ。「無念!」とここから筆を投げ捨てたそう。紙から鳥が飛び出すのも手品みたいですが…悔しいからって筆を捨てるな~!
12:10 宝篋印塔 地蔵峰寺で昼食
トタンに囲われた宝篋印塔のビジュアルがなんともシュール。言われて見上げないとわかりませんでした。赤と緑2種類の緑泥片岩を交互に重ねてるのですが写真じゃちょっとわかりにくい。県下四大宝篋印塔の一つで3mを超えます。経典を収めることに、ご利益があるそうです。
この後すぐ地蔵峰寺に着くのですが、この宝篋印塔も元はそこにあったそうです。また町石地蔵の18体目はその寺に安置されています。
このお寺で昼食休憩です。地べたに座って持参したおにぎりと魚肉ソーセージをもぐもぐ。そばのトイレを使って食後に地蔵峰寺の解説を聞きました。けっこう古いお寺だと思ったら室町時代の建立で、重要文化財だそうです。天台宗とのこと。
12:55展望
地蔵峰寺のすぐ側に展望があります。(ここで昼食を取った人もいたらしい)開発が進んだ現代の海南の沿岸部。かつての美しい名勝はその姿を変えましたが、それでも十分な見晴らしの良さがあります。見えるのは和歌浦、海南の町、友が島、淡路島…そして和歌山を揺るがした毒物カレー事件など近代のニュースのお話まであり、忘れがたい景色です。
13:00 峠の池のコイ
峠から下りに入ります。昔から病気になるとこの池の鯉を1匹いただいて、生血を飲んで身は生のまま食べたんだそうです。平癒した際には鯉を2匹返上。1匹はお返しで、もう1匹はお地蔵様への御礼として。うーん・・・美味しくなさそう。わずか8軒のお宅で世話をしてるらしく、300匹とありました。寄付の協力依頼も納得です。
アドベンチャーワールドにあるエサのガチャポンがあると、寄付もできて楽しいかも、と思ったり。
13:50 裏見の滝 福勝寺(重要文化財)
いや~本当に紀伊路って思ってる以上におもしろい。「とりあえず申し込んで集合時間に来た」「今日、何km歩くかは一応わかっている」というレベルで参加してるので、すべてが未知との遭遇。(予習なしで来れるのも語り部付きイベントのいいところ!なんだゾ)
この美しい滝は、その裏側を歩けるので裏見の滝と呼ばれます。見ごたえがありました。しかも雨がないと現れないそうで、語り部さんも「今日は滝が見れて良かった~!」と参加者の幸運を喜んでくれました。マイナスイオン!って感じです。写真撮るのヘタクソですが、SNS映え間違いないです。爽やかで、清らかで、最高でした。
重要文化財指定の福勝寺は、真言宗のお寺で弘法大師が開いたと言われます。千手観音様がお祀りしてあるそうです。檀家のいないお寺なので地域の方々で維持しているそう。ここの軒下には天狗の手形があります。悪さをしないよう観音様から注意をされた天狗が、はは~っと約束をしたときについたとか。改心した天狗は村人に親切にし、岩屋の天狗どんと呼ばれ親しまれたそうじゃった~めでたしめでたし。
14:05 橘本(きつもと)王子跡 阿弥陀寺
柑橘類の橘で、橘本(きつもと)と読む集落があります。ここの阿弥陀寺の境内にあったとされるのが橘本王子跡。和歌山名産のみかんのルーツで、熊野御幸ではここにあった橘の実を食し喉をうるおしたそうです。阿弥陀寺は浄土宗のお寺で本尊はもちろん阿弥陀如来様。安土桃山の開基だそうです。
15:30頃 加茂郷駅
さて橘本王子跡から紀伊宮原までやるのが街道マップのモデルコースですが、今回のイベントは加茂郷駅で解散となります。藤白峠を下りきると加茂川が現れ、この川づたいに約1時間ほど歩くとJR加茂郷駅です。
が、この加茂郷駅までの道のりというのが熊野古道でなく黙々と歩くだけの長く退屈なラストです。途中自販機があり飲み物を買い足したり、野花を見たり、ビニールハウスのみかんを見たり、参加者でおしゃべりをしたりとその程度。
ただこのあと紀伊宮原まで一気にやるのは2つの峠越えになるので健脚でないとしんどいのだと思います。次回の峠も楽しみに解散となりました。