昨日、1月23日に紀伊路語り部の会が主催するウォークイベントに参加した。
先月のイベントで語り部さんたちに「私、京都から船で大阪に行って、そこから中辺路まで全部歩くんです!360kmくらい!」と話した時には「唐突すぎてわけわからん!」と言われたのだけど、西御坊駅で私の顔を見るなり柴田会長は「どうな!宿はとれたか?」とおもしろそうに聞いてきた。
「見て下さいよ~」と21日間の行程表を手渡すと、取れたんかよーすごいなー!と笑って「昼休みな!」と約束。午前のウォーク中に粗方目を通してくれたみたいで、昼食休憩の祓井戸観音堂でおにぎりを食べながら話をした。海が見えて快晴だ。
ウォークイベントを同行取材している朝日新聞の記者さんも、私の計画を知って「え?!淀川を船で!」「就航する?!舟見てきたの?!」「仕事辞めるの?!」と何度も驚いてくれたのでアタシ、とっても満足。まだ何も成してないんやけどね。
記者さんは淀川沿いの大阪に住んでたそうで一本松海運さんのことも知っていて、新型の舟が出来ていることにとても興味を持ってくれた。「浅いところはね、ウィンチで引っ張るんですよ~」とスマホで画像を見せてドヤってみる。
「ええなぁ、うらやましいなぁ!」と70歳半ばの柴田会長が言う。やってみたい人が私以外に必ずいる!というのが信ずるところなので、すでにそう思ってくれるのが嬉しい。もちろん柴田会長は大阪から一通り歩いているのだけど、宿泊しながらの旅は「若ければやりたかった」と悔しがるのだ。
「わしも淀川の舟に、なんとか仕事の都合つけて乗りにいこうかな~。」と思案する会長。
「一緒に乗りましょう!その日に就航するかまだ決まってないけど、中辺路の人も誘って皆で乗りたいです」
「ほんで途中で“わしも歩きたい”ってのが10人とか参加してきたらどうするんな?!」
「えっ…なに?どういう意味?!」
柴田会長は道中にひょっこり現れそうやなぁと想像してたけど、「10人とか」ってなんだ…?と思ったら、声をかければ一緒に歩きたい人がいると会長は考えてるみたい。
「ええっ!? 私、1人で歩くつもりやってんけど…」
「じゃぁ断るんか!?」
こ、断るんかって言われても…。考えてもない質問にびっくりして私と友達は笑った。大抵はこういうの「1人で歩きました!」っていうのが旅の挑戦ストーリーやし、それが醍醐味やし、そのイメージしかなかった。
でも日替わりのパーティ(関係者?)が加わって、何人かで歩くのもアリかなとちょっと思ってきた。RPGゲームみたいでおもしろそう。
私はこの旅で何がしたいのか?帰ってから考えなおしてみた。
1.長距離コースの実験
360kmの旅程が現代でも実現可能かどうか。宿泊施設はどれくらいあるか。洗濯はできるか。道に迷わないか。普通の体力の人間がこれを実際にやってみること。そしてなるべく歩くことにこだわる、バスなど極力使わずどこまでやれるかを試す。
2.GPSによる記録
道標の整備は自治体が動かないと難しく、大阪でこれが増えるのは現段階では考えにくい。すでに地図は存在するが道標がなくても迷わず歩けるよう、正確な位置情報をデータ化する。またこれをフリー素材として公開し誰でも活用できるようにする。
3.地域の人との交流
大阪の熊野街道、紀伊路の認知度が低い。しかし中辺路同様に重要な歴史の道である。飲食店や宿泊地ではなるべく現地の人と交流し熊野古道の可能性をわずかでも知ってもらう。種を撒くこと、小さな波紋を作ること。
4.川の道の蘇り
川もまた熊野古道で紀伊半島において大きな役割を果たしてきたことの認知を高める。またその活動の応援とPR。
①淀川三十石舟の実現性が高まっている。これに乗船し京都から大阪へ渡れば、話題性もあり観光向けでもあり、熊野古道の起点がどこなのか理解しやすいと考える。
②本宮大社の大斎原付近から川舟乗り場までをカヤックで下れるかを試す。浅すぎるのでできない可能性も高いが、出来ないことも含めてやってみる。ダム・治水・水害・防災などについて、熊野川の歴史と未来を自分自身がきちんと学ぶきっかけや縁を作りたい。3月半ばにシーカヤックガイドの大島さんと実験を予定。
5.スペイン巡礼の訓練
9月にフランスからサンティアゴを目指す1,000kmの歩き旅を計画中。海外で1人、7㎏近い荷物を背負って長距離を連日歩くことの予行訓練。国内では日本語が通じ病院にも行け、安全なトレーニングとなる。体力をつけておいた方が現地での旅に余裕がうまれてより楽しめる。
美味しいものを食べ、素晴らしい景色と出会い、あたたかい人々と交流する、そんな多くの旅人の持つ目的とはちょっと違う。なぜか私の心にはそんなミッションがある。
「旅人の目線になって熊野古道を見たい!」というのが当初の考えなんやけど、考えてみれば大阪の道は初めてでも和歌山県内はほぼ歩いている。地元なので知り合いもいるし、完全な旅人にはなれないなぁと思った。
スペインの巡礼道では長い道中で友達ができたり、知らない人と助け合ったり、ときに一緒に歩き離れてまた会って…そうしてゴールをみんなで喜び合うそうだ。
熊野古道も「1人で歩くこと」にこだわらなくてもいいような気がしてきた。柴田会長の言うように色んな人と歩いた方が絶対におもしろいし、私にしかできないことかもしれない。まだ若いから年長者は応援してくれるし、しかしながら妙齢ということで社会経験や基礎がある、そしてパワフルな知り合いが数人いる。
そんな道中のことをブログに書けば、メンバーが毎日変わってもそのキーパーソン同士がつながるかもしれない。九十九王子をたどって道を描くように、点と点が結ばれるかもしれない。
うーん、めっちゃたのしそう!!
…となると、ざっくり気ままに1日の行程を考えて歩くつもりだったけど…出発時間など行程をちゃんと決めないといけない。語り部さんは大体アナログだからな!資料作成にかからねば!!
ただ今、そんなところ。どうなるかな~めちゃくちゃ楽しみ!