決断と実行!すさみの山奥でスダジイに会えた意味

スダジイの巨木と、大辺路との出会い

すこし時は遡り12月、ある寒~い冬の日。語り部団体大辺路長井坂クラブ主催のスダジイ巨木ウォークに参加しました。

携帯圏外の山奥に突入するこの企画、途中にトイレも自販機もなく、なかなかハードな内容です。

しかもコレ“熊野古道大辺路のルート上ではない”んですよね。こんなマニアックな所は連れて行ってもらおう!

▲大辺路は最南端の海岸沿いのルート。これからが注目。

 

巨大なスダジイの存在感は、うわ~!!と声が出るほど見事です。杉木立の植林の中にたった1本。

「すごいろ~これは、とめぎやで。」とベテランの語り部さんが教えて下さいました。止め木・留め木と呼ばれ、立派だから伐ってはいけないとされた木です。

この巨木、実は発見されて間もないのです。林業衰退とともに忘れられ、地元の一部のお年寄りの情報などから伝説的に「あるらしい」と言われたのを探し出したそう。

もしかしたら日本各地にまだ知られてない、こんな宝物があるのかもしれません。

▲巨木の力強い生命感!ラスボスみたいな迫力です

 

ちなみに、この時はまだ360kmの旅の計画は日数も決まってない状態。

こんなところにご縁が生まれるとも思っていませんでした。

築山さんと一緒にいます

ずっと前から予定していた徳島旅行。その前日の2月1日は大阪の友人宅に宿泊しました。

アメリカ人ホストファミリーか?と思うくらい大歓迎してくれるハートフルなノリエちゃん両親が、旅の計画をやっぱり超~応援してくれます。3月31日の城南宮出発式を観に来てくれるって。うれしいなぁ!

▲徳島で合流した高知の友達は、お遍路車で回ってるらしい。私もいつかはやるぞ~!

 

そんな時に電話が入りました。田辺でシーカヤックガイドをされているアースメイトの大島さんです。

「坂本さん!ぼく今ね、大辺路の築山さんと一緒にいるんですよ!」

えっ、なんでアースメイトに語り部の築山さんが?

築山さんはスダジイのウォークで一緒に歩いたサポートガイドさんでした。

聞くと築山さん、手作りカヤックを購入して大島さんと一緒に組み立て作業をしてる最中だそうです。手作りカヤックってなに?!

川の道もやりたい、そんな人いるのか?

「あの時はどうも~!」「いやいやこちらこそ~!」思ってもなかった再会のカタチは2月5日、田辺湾のアースメイトでした。私と築山さんはもちろん、大島さんも嬉しそうで話が盛り上がります。

実は12月のスダジイ巨木ウォークでちょっとハプニングがあって、私の持ち物を他の方に貸したのです。その後、築山さんが間に入って返却くださったという経緯がありました。

それっきりだったのですが、2ヶ月後に大島さんが「坂本さんって女性が、京都の川の道もやるって計画してるんですよ~」と話したところ「え!?その子 知ってる!」と築山さんが言いだしたんだとか。

そして「俺ないねん…川だけ、ないねん…」と!笑

築山さんも紀伊半島をくまなく歩かれている熊野古道マスターの1人。しかもちょうど数日前に奥様がFacebookページで私の旅の計画を目にしたそうで、本当は連絡したいと思ってたんだとか。

でも「イベントで知り得たこの個人情報を…活用したらさすがにあかん!!」と…悩ましく思っていたとのことでした。

▲完成したらこんな風に3分割できる。パドルケースとしても??!

 

ちなみに手作りカヤックは元小学校の校長先生が設計したそう。ベニヤで出来ていてお値段は5万円!大人のプラモデルって感じですね。もちろん実際に乗れます。

道はつながるか

「三十石船、夫婦で2名!」募集案を聞いて築山さんが楽しそうに即答してくれたことで、こんな人がもっといるはずだと確信しました。

おもしろい船があること、京都からのロングトレイルが実現できることを、たくさんの人に知ってほしいと私は願っています。

だから熊野古道の関係者を幅広いエリアから募集し夢を共有したいという、無謀なアイデアを心の底に抱いていました。

でもなぁ、紀伊路と中辺路しか知ってるガイドさんないし…年度初め月曜なんて皆忙しいに決まってるし…もう2か月切ってるし…42人はさすがに無理不可能…無茶難題。

けれど、今回歩かない大辺路のガイドさんだって興味を持ってくれたのです。熊野古道とスペインの共通巡礼をやるように、あの道もこの道もきっと無関係ではない。

少しずつ届く思わぬ応援は追い風だと感じました。

キラキラと輝く静かな内之浦湾で、この日、航路が定まりました。

開拓する精神を胸に

築山さんの話で印象的だったのは「定年を過ぎて熊野古道の世界に飛び込んで、人生で今が一番おもしろい」とおっしゃったこと。

大辺路が世界遺産に追加登録されるまでの道のりは、けして易しいものではなかったはず。

そんな生の声を聞いて、すっごい大変そうなのに「おもしろそ~!」と思ってしまいました。

▲海も川もすべてつながるんやな~と近頃めっちゃ感じています

 

秘密基地を作ったり、校区外へ飛び出したり、そういう開拓精神や冒険心を刺激されるような話。

ボランティアは余裕がなければできないので、私がフルでそれを出来るかと言ったらきっと難しいでしょう。

でも、だからこそ私はこの開拓してくれた道を歩きたい!と思いました。人が歩かなければ道は再び廃れます。活かすことです。

藪漕ぎの道、電波も届かぬ山中でスダジイを再発見をして、歩けるように整備し、イベントの開催を実行した皆さんの熱意は感動です。

大辺路は居住エリアなので、色んなこと落ち着いたら少しずつゆっくり始めたいと思っています。歩く人たくさん増えたらいいな。

今後ともよろしくお願いいたします!