大阪~和歌山360㎞踏破プロジェクトで、宿泊手配に苦戦している管理人です!(大体めどは立ってきたけどね~)
さて、新年の朝にNHK総合で熊野古道の特集が組まれる!というステキ情報が公開されました。
残念ながら一般人なのでNHK公式以上の情報はありませんが…せっかくなので近年の熊野古道をとりまく著しい人気もまじえてご紹介します。
2019年 元旦朝!NHKで熊野古道100分間の特集番組!
和歌山、そして三重、奈良の皆様…全国の皆様、新年を迎えるにふさわしい番組が放送されますよー!!!!
ナレーションは黒木華さん、ムロツヨシさんみたいですね。
実は先月、中辺路の小広王子から歩いたときに、たまたまNHK取材班の方にお会いしました。
語り部さんからお正月に放送があるとは聞いてたのですが…実際に撮影陣とお会いするとワクワク感が高まりました。
おっしゃ速攻でツイッターに上げたろと思ったのですが、確認すると「公式発表がまだなので、ネットにUPするのは…ちょっと待っててね」とのこと。
なので、すんごい小まめにHPチェックしてたんですけど12月末になってやっと言えましたね!笑
この日わたしは中辺路のイベントに参加していて、ガイドしていた語り部、山中さんは、このNHK取材クルーも案内されたそうです。
ちなみに、別の語り部さんは「今日、4Kテレビ買ってきた!」と言ってました。NHKの経済効果すごい。
2019年に熊野古道がふさわしい理由
まあそうは言っても今までに熊野古道は特集されたことあるし…たまたま元旦だからおめでたいだけで…と思っていませんか?
ちょっと待ったー!!新年の特集に、この熊野古道がなぜさわしいのか??を解説しましょう。
1)熊野古道のテーマが「蘇り・再生」であるということ
熊野三山が救うとされるのは、過去(前世)・現在(現世)・未来(来世)。
「熊野へお詣りすれば蘇る、熊野は貴賤(身分)に関わらず受け入れてくれる」
餓鬼阿弥になった小栗判官が、世界遺産になっている湯ノ峯のつぼ湯で蘇ったのは象徴的な物語。
神様を迎える準備をして、お寺で鐘をつき、夜が明けて陽が上る。無病息災や家内安全を願うしずかな気持ちは、熊野の神秘にふれることに良く似ているのです。再生、再スタートです。
結婚・離婚・転職などで人生を変えたい時、心機一転するときに「年内に」「年明けには」と思ったことはないでしょうか。正月は多くの日本人にとって区切りです。
私にとってはおせちも門松も初詣もなくお年玉だけ搾取されるイベントになっていますが。
それでも正月はなんとなく特別で、お盆やゴールデンウィークよりも、古式ゆかしい元旦がうらやましいと思ったりします。
そんな特別なお正月の朝に、熊野古道!こりゃ幸先がいいことです。
2)新元号の変わる歴史的な年であるということ
熊野信仰の歴史は、皇室と深く関わりがあります。
熊野に神がおりたったのは神武天皇の神話まで遡りますが、山岳信仰の開祖である山伏が現在の信仰の形を生みました。
熊野の山々を駆け巡り霊力を得た山伏は先達となり、歴代の上皇・法皇を熊野へ導いたのです。
(余談ですが、一番最初に熊野参詣をした宇多法皇はその猫バカっぷりを日記に残しています。親近感しかない。)
そんな歴代上皇の熊野参詣ランキングは…鳥羽上皇21回、後鳥羽上皇28回、後白河上皇は34回!!おおお、そんなに?!
現役の天皇が1か月も都を離れるわけにいかないので、参詣をしたのは上皇・法皇になってからでした。
皇位継承の後、天皇は上皇になります。そして仏門に入れば法皇になります。
2019年5月に皇太子様が新天皇に即位し、元号が改正されます。新しい御代のはじまりです。
そして来年「上皇」という存在が生まれるのは約200年ぶりのこと。
もちろん熊野参詣をされるとは思いませんが(ゆっくりお過ごしいただきたい)、歴代の上皇たちがこんなに熊野詣でをしてくださったからこの歴史の道は開かれたのです。
過去、現在、そして未来へ。上皇の歩いた熊野の歴史もまた引き継がれていきます。
3)今「KUMANO」が、超ホット!!
熊野古道の世界的な人気は、爆買いで知られるインバウンド需要とは少し…いやかなり方向性が違います。
歩いているのは、欧米諸国とオーストラリア人で合わせて約9割。
理由はたくさんありますが、その勢いがどんなものかっていうと以下リンクの通り。
■紀伊半島をとりまく国内外のランキング
★紀伊半島が世界5位 訪れるべき「地域」/AGARA 紀伊民報 (世界的旅行誌ロンリープラネット 2018年版)
★新宮市がAirbnbホスピタル度ランキング1位に (Airbnb日本の都市のホスピタリティ度ランキング 2018年度版)
★2019年に訪れるべき19の観光地 和歌山県が日本で唯一ランクイン(Airbnb2019年に訪れるべき19の観光地 2018年度版)
★高野山に三つ星 観光地版「ミシュラン」/AGARA 紀伊民報 (ミシュランガイド2011年度版)
とにかく近年の評判は飛ぶ鳥を落とす勢いです。何もないのがいいんだそうです。いやいや…いろいろあるぞ。
■日本人も外国人も、楽しそうに歩き旅をしている
2011年にミシュランが「わざわざ訪れる価値がある」と3ツ星をつけたのは高野山。私もそれ以降、3回高野山に泊まりましたが宿坊もゲストハウスも今や外国人がほとんどです。
このあいだ伏拝茶屋のおばあちゃんに「日本人さんですか!」と力強く聞かれました。香港やシンガポールなどアジアの方も増えてきたので「も~最近ほんっまに!わからんねらよ~!金髪やとわかりやすいけどよぉ」とのお話。
しかし、おばあちゃん達の英語と身振り手振りのジェスチャーも手慣れたもの。愛嬌たっぷりなので旅人もきっと楽しいし、これがホスピタリティの高さだろうなと思います。
そして、お遍路・東海道・中山道を歩くように日本人も元来歩くのが、たぶん大好き。まだまだ需要はあるのです。
■新規ゲストハウス、飲食店が続々と開業
中辺路への交通の要所である紀伊田辺駅前は、ゲストハウスの開業が相次ぎます。同様に311号線沿いにすてきな飲食店も増え続けています。それでもシーズンには中辺路の宿が足りません。
「自然が破壊される!」と懸念する人もいますが、そんなことはありません。中辺路にはゴミひとつ落ちていません。(ホントにピリカできない)
「大門坂の苔の消失が~!」と他県でのたまう人は、宿場・旅籠・茶屋がわんさかあった時代を想像して、とりあえず中辺路38㎞歩けと言いたいものです。熊野古道は見るもんじゃないんです、歩くものです。無学な私ですが道が元に戻るだけだと思ってます。
たくさん人が来てお金落としてもらわないと、台風銀座の紀伊半島では保全もへったくれもありません。私はウォーカーであり和歌山県民。アイラブ熊野古道。
ともかく、日本人からも「遠っ!」と言われる超田舎。24時間スーパーもコンビニもなし!そんな所に来る旅人たちはとてもマナーがよく、友好的な方が多いのです。よろこばしいこと。信不信を問わず熊野はすべて受け入れたのですから。
■大型ホテルも開業か
世界的ホテルブランドであるマリオットが大辺路ルート沿いにあたる、すさみにホテル新規開業を決定しました。
■道の駅近くに新形式のホテル マリオットと積水、県内3カ所/(紀伊民報 2018.11.29)
記事によると田辺市でも開業の予定…ほう。それはどこなのか?
出所不明ですが「中辺路なのでは…」と、まことしやかにウワサされます。真偽はともかく、つまりそれくらい熊野古道には勢いがあるのよ~という話です。
まとめ
この熊野古道の国際化は、過去10年で徐々に、そしてこの数年で一気に変化しています。
様々なデータもありますが、これは私や、古道沿いの方々がおっしゃっている「実感」です。
過去に中辺路を歩いた人も、今一度 歩いてみてください。世界平和さえ感じる、多様な旅のカタチが形成されています。
私もただの住民ではなく、旅人になりたいと思ったのはその姿がうらやましかったから。
熊野古道は蘇ります。再生するのです。
さぁ新年、あなたも熊野古道をはじめましょう。そう、何度でも!