熊野ではたらく~旅と定住とリヤカーおじさん~

ある日の滝尻で

5日間だけ、並木さんの代わりに店番を買って出た滝尻茶屋。

しとしと雨の降る熊野古道の入り口ですが、6月のオフシーズンも参詣者がやってきます。

熊野で働く?働かない?!

国道311号線を走る車の音と、川のせせらぎと鳥の声。

お天気の良かった2日目は少し忙しかったので「ああ、今日は仕事をしてしまった‥」と、教員を辞め『できるだけ働かないライフスタイル』を模索している山田さんは少し残念そうでしたが、ただいまスヤスヤとベンチでお昼寝中です。(注:特別ボランティアのため)

▲あんちゃんからは「寝太郎」と呼ばれている。

 

「お昼寝から起きてアイス食べたら、またシエスタするよ」

と意味不明の宣言をするのでお昼寝とシエスタはなにがちがうのか質問するも、よく分からない持論を展開するので私が眠たくなりました。

それでもフランス語で接客をしたり国際的な熊野古道らしく活躍してくれています。

孟子より老子、スーさんより浜ちゃん、謎の哲学者です。

滝尻で一番の働きものは…猫?

滝尻のアイドルは連日、あんちゃんの店からふらっと現れいつものローテンションでふてぶてしく寝転がります。

これから歩くぞ!という旅人も思わず笑顔。

▲遠慮せんと、なでてもええんやで?

 

民宿では添い寝に来ると好評ですが「みゃあに負けたみたいで悔しいやろ〜!?」と、精を出す店主の2人。

 

最近は、新聞デビューもしています(笑)

 

リヤカーのおじさんと定住

宿泊・交通費いらずの旅!

並木さんが実家に旅立った6月12日、中辺路で面白いおじさんに会いました。

「じゃあ、あとよろしくお願いしまーす」と関空に向けて出発したはずの並木さんから「リヤカーのおじさんを見かけたから、うちの包丁持ってきて〜!!」と緊急電話がかかったのです。

店番の対価として留守中の1週間居候できることになった山田さんと、並木家のキッチンから包丁を携えて飛び出しました。

本宮方面に311号線を向かっていた新潟出身のおじさんは、全国をリヤカーで旅をしてるんだそうです。もう出発から1年だって!

1本300円の包丁研ぎの仕事はついで。目的は旅をすること!

▲旅人の笑顔

 

「うわぁ、この包丁は‥今までで一番ひどいなぁ~」

よく日焼けした顔で、欠けた刃を眺めながら苦笑い。暑い日差しの下、裸足で座り込んで作業しながら色んな話を聞かせてくれました。

稼いだ小遣いでビールを買って、四季折々の自然を楽しみながら、出会った人と会話をして…最小限の荷物だけで歩く旅をする。

リヤカーで寝泊まりするので、月の支出は2〜3万だとか!!!

住所不定の人たち

「いいですねー!」とおじさんの話を聞く山田さんも、京都から熊野古道を歩くため住所不定無職となった身。

2,000〜3,000円程度で泊まれる宿は全国にあるので、街中で高額の家賃光熱費を払って定住するのと大差がないのだそうです。

敷金礼金、家具家電、お掃除も不要。

 

そんなわたしも実は今月から、住んでいた白浜の賃貸契約をそっくり友人に名義変更してしまいました。

白浜のアパートは住民票と荷物がある〝拠点〟ですが、今後の住み家は決めていません。住所不定みたいなもんです。

で、6月20日〜7月いっぱい、熊野古道のゲストハウスで住み込みホストをすることにしました!!! (山田さんと)

▲40日間の滞在先は、新宮市熊野川町だっ!

 

これによって家賃支出なし。

8〜10月はスペインを旅して、公営巡礼宿(5~10€程度)を泊まり歩きます。

支出を減らし最低限の労働をすること、物を減らすこと、遊ぶように生きること…

さぁ熊野でどれくらい出来るでしょうか?

人手不足はチャンスかも?!

他の熊野古道のゲストハウスやカフェからも「ウチにも仕事と家あったのに〜」と言ってもらいました。
背景にあるのはうれしい熊野古道人気と、地方の過疎化や日本全体での人手不足。

〝Iターン〟〝移住〟というとハードルは高いけど、ちょっと住み込みながら働くのって難しくないんやなーと身を持って感じています。

熊野古道でリゾートバイト?!

中辺路は自然の中で国際的な仕事ができる魅力ある土地。

和歌山のリゾートバイトと言えば、白浜ビーチ!ですが…熊野古道もありだと思うんですよね。

▲世界遺産の入り口で、ぜいたくなお仕事

 

高野山宿坊や川湯温泉の短期求人が実際にありますが、潜在的な需要はもっとたくさんあるので、うまくマッチングしたらいいのになぁと思います。

それに白浜より、熊野古道の客層の方が・・・落ち着いた物静かな大人が圧倒的に多いです!!!(お察しですね!)
海外から田舎へ、わざわざ歩きに来るようなゲストです。

酔っ払いに絡まれるとか、理不尽な言いがかりで暴言を吐かれるとか…ないとは言いきれないけど、サービス業あるあるのストレスはかなり低い地域だと言えます。

(むしろ熊野古道でよく耳にするのは「日本人の方がタチが悪い!」ということ…)

何かが変わるかも

大都会のサービス業で消耗して心荒んでいる人、とりあえず熊野へ来てみたらなんとかなるし、きっと世界が変わると私は思います。

お金を使うところ少ないし、野菜もらえるし、温泉あるし最高ですよ。満員電車の通勤もありません。

▲近所の常連さんが芋をくれたので湯峯温泉で茹でる!そんな仕事帰り

 

それに個性的な生き方の人、地方でチャレンジする素敵な若者…おもしろい人たちも多くて、得られる刺激の多さは書ききれないほど。

色んなところに首を突っ込んで感じた、リアルな情報が発信できたらいいなーと思っています。

私もまたどこかに就職して、定住して、一般的な生活に戻ることはもちろんありえます。

でも今感じている〝何か本質的なもの〟は、きっと左右されることのない価値観となり、礎となる気がしています。

 

滝尻のおまけ情報!

そんな、滝尻で7月7日に世界遺産登録15周年を記念したイベントがあります。

ぜひ足を運んでみてくださいね。