熊野古道って、みんなどうやって歩いてるのでしょう?迷わない?安全に歩くコツはあるのかな?
地図は必要みたいだけど、コンパスや山岳図まではいらないみたい…。
そんな不安を解消してくれる様々な道しるべが熊野古道にあります。同じものばかりでなく、これは管轄する行政により種類が異なります。
この道しるべさえしっかり見つけられれば、ゴールまでの距離や時間、あるいは緊急時の救助要請などもスムーズ。意外と教えてもらうことのない基本中の基本をしっかり把握しておきましょう。
道標の種類
中辺路を歩くならスタンダードな『番号道しるべ』が基本
1.中辺路
『滝尻王子/起点(0番)』からゴールとなる熊野本宮大社の手前『祓戸王子/75番』まで、およそ500m毎に番号の入った道しるべが設置されています。(つまり滝尻~本宮は約37kmとなります)
この番号は現在地を知る上でとても重要。この500mが数分のこともあれば、登り坂で30分かかることもあります。
事故は年に数例ですが「ちかつゆ25番ポイントで1名滑落」というように消防に連絡すれば、木々以外の目印のない山中であっても発見が用意です。
また熊野古道もいくつかのルートがあるため、番号は以下の通りとなります。
- 中辺路 メジャールート 滝尻~本宮大社 滝尻王子0番~祓戸王子75番
- 中辺路 赤木越 赤木越分岐1番~湯の峰温泉11番
- 中辺路 大日越え 湯の峯王子3番~本宮大社手前1番
- 中辺路 大雲取越 那智大社・青岸渡寺過ぎ1番~大雲取登り口28番
- 中辺路 小雲取越 小口バス停付近29番~請川バス停54番
※大雲・小雲は管轄する行政も変わり、道標は石柱に変わります。
2.伊勢路
同じ熊野古道ですが三重県の伊勢路では峠ごとの道しるべが設定されています。これは100mごとの設置です。
街道とあるのは伊勢路が熊野や伊勢への参詣道であったことと同時に交通の道であったためです。
3.高野参詣道(高野七口)
新しく世界遺産に追加登録された黒河道も1.中辺路と同じタイプの番号道標が設置されています。
・高野参詣道 黒河道 定福寺1番~粉継峠26番
行き先・距離を示すタイプ
誰もがイメージするTHE みちしるべです。茶色のものが最もよく設置されており、英語表記があるので中辺路など外国人も歩く道での設置が多いようです。これは分岐によく登場し迷える熊野古道ウォーカーを導いてくれます。距離を書いてあるので位置確認やペース確認に有用です。
1人歩きは慎重になり意外と見落としませんが、複数人はおしゃべりに夢中で人任せになることがありますので、仲間で意識して歩いてください。
熊野古道をシンプルに示すタイプ
これも中辺路全域に設置されているタイプの道標です。分岐などの紛らわしい道に登場します。
一目瞭然、説明不要の道しるべです。
一里塚
この一里塚は現代の道しるべではありません。元々は松の大木だったそうですが、現在は石碑が建てられてあったり、土が盛られてあったりします。
江戸幕府が築かれた紀州藩時代、和歌山城を起点に一里ごとにこれが作られました。一里とは約4kmです。
熊野古道ではおおよそ5~15km程度が1日の行程なので、そういくつも目にするものではありませんが、これもまた歴史の道標だと思ってください。語り部さんが実際に計測したところ、道の変わってしまったところを除いてほぼ4kmで間違いなかったとのことです。
その他の道標
定番の道標は以上ですが、足元にある場合もあるので注意して探してください。集落や各家庭で作ってくれた道標や、看板なども見つけると楽しいですよ。